学際的に情報を織りなし、新たな価値を見出す。権藤先生と渥美先生は、
社会課題を解決するソーシャルプロジェクトに取り組んでいます。
長期にわたる高齢期をしあわせに過ごすために。
科学的な視点で追跡研究を行っています。
世界の最長寿の記録は男性116歳、女性122歳。現在、日本の高齢期(65歳の方の平均余命)は、男性20年、女性25年であることを知っていますか?高齢期は、みなさんが想像しているよりも長い期間なのです。私の研究は、その長い高齢期をしあわせに過ごすための秘密を科学的に明らかにすることを目的としています。
最大の疑問は、高齢者は体の機能が低下し病気が増えるにもかかわらず、幸福感は低下しにくい「エイジングパラドックス」と呼ばれる現象が、どうして起こるのかということ。そこで2010年から、医学部・歯学部の先生や東京都健康長寿医療センター研究所と共同で、地域で生活する約3,000名の高齢者に協力いただき、個人の加齢変化を3年ごとに追跡する長期追跡研究を始めました。加齢は長い時間をかけて起こる多面的で複雑な変化のため、このような方法で辛抱強く継続して研究することが必要です。私が退職する2030年頃には、その秘密を明らかにできると考えています。
前職である東京都老人総合研究所時代から現在まで、通算500人以上の100歳以上の高齢者(百寿者)の方々とそのご家族に聞き取り調査を実施。その経験は、研究だけでなく自分の人生にも大きな影響を与えている。
http://rinro.hus.osaka-u.ac.jp/index.html災害ボランティアにできることは何か?
実践と研究の両輪で課題に立ち向かっています。
災害は人びとのいのちを奪い、くらしに大きな影響をもたらします。災害が起こると、災害ボランティアが被災地に向かい活動します。当研究室では災害ボランティアに焦点を当て、被災地の人びとのくらしの回復と改善を目指して研究と実践に取り組んでいます。
災害ボランティアは、被災された方にどのように接すればいいのか?避難所や仮設住宅ではどんな活動が必要か?復興に向かう場面では災害ボランティアにどんな役割があるだろうか?そんな問いを持ちながら、さまざまな被災地に赴き、災害ボランティア活動に参加。そして「グループ・ダイナミックス」という学問体系のもとで、関連分野を参考にしながらしっかり考えます。そして成果は研究発表するだけでなく、被災地の人びとのくらしを実際に改善できるような提言を行ったりしています。現在は、2016年熊本地震、2011年東日本大震災、2004年中越地震、そして1995年阪神・淡路大震災の被災地で研究・実践活動を行っています。
1961年、大阪府生まれ。大阪大学人間科学部卒業後、ミシガン大学大学院に留学。神戸大学助教授の時、自宅のあった西宮市で阪神・淡路大震災に遭い、ボランティア活動に参加。これをきっかけに災害ボランティア活動の研究と実践を続けている。
http://cdv.hus.osaka-u.ac.jp/教育・研究の成果を社会に還元するために、学生と教員が一体となり、様々な取り組みを行っています。障がい児・者向けの公開講座や高校生向けの模擬授業をはじめ、災害ボランティア活動やその社会支援、心理教育相談室など、社会・地域との関わり合いを通じて、実践力を養います。